エレキ/ミンコタ特集







スモールボートに最適な小型電動船外機(エレキ)、ミンコタRT40S。
トランサムに取り付けるスタンダードなモデルで、40ポンドの推力を発揮する。
ミンコタの場合、ホワイトボディーは海仕様。ブラックは淡水仕様となる。 ボディーの防錆処理などが異なっている。
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■ エレキの実力は?
 ガソリン船外機とエレキ(電動船外機)の仕組みの違いについては、誰もが想像できることでしょう。 前者は内燃機関、後者は電動モーターを利用する。 「電気で動くモーターで、十分な推力が得られるの?」と思う人も少なくないかもしれませんが、それは使う人のニーズによります。 免許が必要な大きなボートの場合、エレキの活躍の場はフィッシングポイントをスローで移動する程度に限られますが、 スモールボート程度の大きさになれば、メインの動力として利用することも視野に入ってきます。

 3メートル未満のスモールボートの場合、ほとんどが1人ないし多くても2人程度の乗員になると思います。 それなら、推力30ポンド程度のモデルで十分でしょう。静水面なら小走り程度で進むことができます。

 推力30ポンドというのは、エレキを水中で回した場合、最大で30ポンドの荷重を牽引できるという意味です。 ただし、計測方法はメーカーによってまちまちなので、単純にポンド表示だけでエレキ同士のパワーを比べることはできないようです。 計測する際に使用するプロペラのサイズ一つ取っても、数値はかなり違ってくるらしい。
あるメーカーの43ポンド表示の機種をミンコタの基準で計測したところ36ポンド程度たったこともあるということです。

RT40Sのマウント部分。 ガソリン船外機同様、大きな2つのネジでトランサムの板をしっかりくわえ込む。 また、トランサムに合わせて高さが調整できるようアジャスターのネジがサイドに設けられている。

操作はいたって簡単。ガソリンの小型船外機と同じようにティラーハンドルを握って舵を切る。
■ トルクかスピードか
 同じパワーを持つエレキ同士でも、トルク重視だったりスピード重視だったりします。、 メーカーによって設計コンセプトが違ってくるので、自分が求めるニーズをはっきりさせておくことが大切です。 ちなみに、ミンコタはトルク重視の設計となっています。

 トルクとスピードとは相反する性能なので、どちらかを求めると、どちらかを犠牲にしなければなりません。 そのため、単純にポンド表示が高いからといってスピードが出るとは限りません。 簡単な例になりますが、スピードを上げるためには小さなプロペラを使って回転数を上げますが、 推力を求める場合は、大きなプロペラでトルクを稼ぐようになります。

 これは、クルマのギアを考えてみると分かりやすいでしょう。 ローギアは、スピードは出ないが坂道に強く、トップギアは、スピードは出るが坂道に弱い。 水面の場合、坂道はないが、風や波、潮の影響を考えずには走れない。

ミンコタはトルクを重視しているのは、風が強くなったり、艤装を増やしてボートが重くなった場合を想定したためで、 特に釣りのニーズを意識した結果なのでしょう。 トルクかスピードか、それは乗る環境や遊び方などによって決まってくる要素と言えよう。

エレキ(電動船外機)にはディープサイクルバッテリーを必ず使用する。 ディープサイクル式のバッテリー「ボイジャー」115アンペア・タイプがよく用いられる。

バッテリーを充電器に接続し、フル充電しているところ。赤はプラス極、黒はマイナス極と色分けされており、誰でも簡単に接続できるようになっている。
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■ エレキには、エレキ向けのバッテリーを!
 電動モーターのパワーは、当然のことながらバッテリーから供給されます。しかし、どんなバッテリーでも良いという訳にはいきません。

 バッテリーといえば、どなたにもクルマのバッテリーを想像するでしょう。 けれどもクルマのバッテリーは、常に走りながら充電されることを考えて作られています。 エレキの場合は、消費するだけで充電されませんので、おのずとバッテリーの仕組みも異なってきます。

 クルマのバッテリーは、容量の25%ぐらいを消費するように設計されており、 それ以上の容量が消費されるとエンジンを回せなくなってしまいますが、 常に充電される仕組みなので、そのような設計でも問題がないのです。 反面、エレキに使われている、ディープサイクル式のバッテリーは、 使用中に充電されないことを想定しているので、容量の80%ぐらいまで消費できるように設計されている。

 もし、エレキにクルマのバッテリーを使った場合、だいたい半年で使いものにならなくなってしまうし、 無理をすれば、たった1回の使用で寿命が尽きてしまうこともあります。

 量販されているクルマのバッテリーは、価格が安いので手が出てしまいがちですが、エレキには向いていません。 多少高価でも、ディープサイクル式のバッテリーを使うことが肝心です。 ディープサイクル式のバッテリーをエレキに使用した場合、適正な使い方をしていれば2年は使えるいうことのようです。

ミンコタRT40Sから出ている配線コード。エレキを利用する際は、このコードの先端を右図のようにバッテリーに接続することで電源を供給する。

充電時と同様、赤はプラス極/黒はマイナス極同士を接続すればよい。
■ フル充電したバッテリーでどれくらいエレキを動かせるか?
 それではバッテリーは1回の充電でどれぐらい走ることができるのでしょうか?
 3メートルクラスのボートで一般に使われているのは105アンペアのバッテリーですが、 これで30ポンドのエレキを動かした場合、フル稼働で約1〜2時間といったところです。 ただし、どなたも全開でフルに走るような使い方は、まずしないはずです。 走っては止まってというように釣りで使う場合なら、ほぼ1日はもつでしょう。 なお、ディープサイクル式のバッテリーを充電する場合は、かならず専用チャージャーを使ってください。 こちらも、クルマ用のものを使うと、正しい充電ができません。

 バッテリーを長持ちさせるためには、使用後すぐに充電をして満タンの状態に戻して保管するようにしてください。 バッテリーが減ったままの保管は、バッテリーにダメージを与えてしまいます。使用後そのまま放置せず、充電して満タンに戻すことがとても重要です。

 ガソリン船外機の場合、燃料の予備タンクを積むという工夫がありますが、 エレキでも、予備のバッテリーを積んでおくと安心できます。 また、エレキには無段変速のタイプと、5段階ぐらいのギアを組んだタイプがあり、 低回転で回せば回すほど、無段変速のほうが電力消費が少ない。

 これは、電子的に無段階で電力をコントロールするのと、ロータリースイッチを使ってリレー式にマニュアル変速していく方式との違いによるものです。 無段変速の方は、必要最小限の電力しか流さないように、電子的に制御することができるためです。

 ちなみに5段階変速の場合は、ローギアからスタートして順々にマニュアルでギアをチェンジしていくが、クラッチ操作は必要ない。 また、釣りをする人は圧倒的に無段変速を求めるが、これは5段階変速の2と3の中間のスピードを出すことができるからです。 風や波に合わせて、その場に留まっていたい場合、微妙な速度調整が可能になっています。

ミンコタのフットコントロールモデル。
アルミボートなどを使ったバスフィッシングなどで多く用いられている。
最近では、ゴムボートでも取り付けられるようにと右写真のような「ツイストブラケット」も登場している。
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■ ハンドコントロールタイプか…フットコントロールタイプか…
 エレキ(電動船外機)にも、いくつかのタイプがあります。
一般的に知られているのは、おもに免許が必要なサイズのフィッシングボートのバウ(船首)に取り付けられる、フットコントロールタイプです。 釣りザオを握ったままフットコントロールペダルを使って速度調整や舵切りができるようになっています。 なぜ、エレキをバウにセットするのかといえば、ポイント周辺をスローで進む場合、動力がボートの前方にあった方が進行方向をコントロールしやすいためです。 これはふらつきやすい雪道に前輪駆動車が強いのと同じ理由です。

 このフットコントロールタイプは、ハンドコントロールタイプと異なり、取り付けられるボートが限られます。 というのは、バウ(船首)部分にフラットなスペースがある程度は必要となるためで、ほとんどがバスフィッシング用のアルミボートで利用されています。
最近では、ゴムボートでも取り付けられるように工夫された「ツイストブラケット」というアイテムも登場してきている。

 フットコントロールタイプは、基本的にはスモールボートには向かないと思われる。なぜなら、フットコントロールタイプは「立った姿勢で使用すること」を前提としているので、 全長3メートル前後のボートで使われることは稀だと考えてよいだろう。

 一方、スモールボートに普及しているハンドコントロールタイプのエレキは、ガソリン船外機と同様、トランサム(船尾)にセットされ、 船外機本体上部に配置されたテイラー(舵棒)によって舵や速度調整を行います。
 釣りマニアのなかには、最初からフットコントマールタイプを取り付ける人も出てきていますが、 スモールボートの場合は、構造がシンプルで扱いも簡単なハンドコントロールタイプが、ビギナーにはお勧めです。

 釣りに集中したいマニアは別として、手軽に遊ぶためにスモールボートを購入した人なら、動力もシンプルで扱いやすい方が気が楽でしょう。 フットコントロールタイプは、ボートの舶先の高さに合わせて船外機のシャフトの長さを選ぶ必要がありますが、 ハンドコントロールタイプの場合、トランサムの高さはボートのサイズによってだいたい決まっているので面倒がありません。

ティラーの根元に記されている番号は変速ギアの段数。 カチカチとティラーを回しながらOFFから5速まで切り替えることができる。

使用にあたって注意しなければならない1つが、ブロペラによるゴミの巻き込みだ。 中央の鉛色の部分は本体の電食を防ぐジンク(防食亜鉛)になっており、ジンクを目すとブロペラが外れる仕組みになっている。
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■ エレキを利用する上で注意したいポイント
 ミンコタの全モデルには、グラスファイバーコンポジットシャフトが採用されているので、衝撃を受けてシャフトが折れ曲がったままになることはまずありません。 しかし、金属シャフトの場合は、走行中にシャフトが海底の岩などに当たらないよう注意してください。 大きな損傷を受ける場合も考えられます。
 海底の岩などにドライブユニットを当ててしまうことは、ガソリン船外機でも注意しなければならないことです。 しかし構造上、細いシャフトが組まれているエレキの場合は、より注意が必要となります。 ミンコタの場合は、グラスファイバーコンポジットを採用することで、シャフトの修理交換率を0.025%と、皆無に近いまで下げることに成功しました。

 あと、注意しなければならない点としては、釣り糸などのゴミをプロペラが巻き込んでしまうことです。 スピードが下がったり、スロットルを上げても思うように走らなくなった場合は、バッテリーとともにプロペラを点検しましょう。

 支障なく走って帰港した際も、できればプロペラを外してプロペラ軸受けを点検してほしいと思います。 それは軸受けに釣り糸などの細いゴミが絡んでいる場合があるためであり、もし発見したら必ず速やかに糸やゴミなど全部を取り除くようにしてください。 もし取り除くことが困難な場合は、無理をせずにメーカーやディーラーに修理を依頼するようにしましょう。

 スモールボートの場合は、とにかく天候や水面の状況をよく見定めながら遊ぶようにしましょう。 いくら性能の良いエレキでも、風が非常に強くなったり波が高くなったりすると、思うように走ることができなくなる場合も出てくるかもしれません。

ジンクを回してプロペラを外したところ。 ジンクは、両端にある凸部が互い違いになるようドライバーの枝などを噛まして、反時計回りに回すと簡単に外れる。

プロペラ駆動軸受け部分。 隙間に、釣り糸のような綱かいゴミが詰まっていないか点検する。
 

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